短歌20
紫の甘き香の藤ふさふさとうずもれし蜂に密かに憧る
六月の青き枝々そよぐ地を窓越しに見て心のみ駆ける
懐かしき祖母の家の香漂いて見知らぬ町の製材所と知る
梅雨明けに惑う天候肌寒く一人歩きの夏への気持ち
電車にて眠りさ迷う隣人はメトロノームの如くに揺れる
霧雨に淡く溶けゆく街景色遠くに見るほど白き幻
暗雲を裂く戦闘機轟音の雨を降らして恐怖は溜まる
灰色の六月染める曇天の殻を破りし真夏の太陽
夏休み始めの映画館前は真夏の熱気を放つ行列
自転車をこぎて真夏の昼過ぎに横目で見やる百合の白涼し
宅配便ちらと目が合う韋駄天の後ろ姿にただ驚きぬ
燃える赤ふうわり包むねむの花にころり眠りしこがね虫の背
将軍が今朝も暴れて悪人を成敗するから楽しい一日
夏服のシャツの半袖爽やかで戻れぬ夏がただ懐かしく
真夜中の静寂汚しずるずるとカップラーメンすする音のみ
昼食のコーヒーフロート減るごとに体にまとう夏の熱も減る
自販機の狭き口から引っこ抜くペットボトルに収穫気分
夜の闇が来たりて熱き人々は空に花咲かせ祭りに興ず
浴衣着て歩く少女のヨーヨーに夜店の楽しき思い出詰まる
夏祭り終わりが誘う寂しさは目醒めぬ夢を憧れるため
*あとがき*
これは、2003年に課題として二十種提出した短歌です。
おもに春から夏にかけての風景が多いとおもいます。
意味がわからない短歌もなかにはあるかもですが、ひらにご容赦を。
たとえば「将軍が・・・」は「暴れん坊将軍」が朝にやっていたってことを表してます。
いまはやってるのか・・・ともあれ、そんな時勢をあらわしている歌ともいえます。
あとはわたしの好みとか、耳にするもの、目にしてきたものを表現しています。
稚拙な歌ですが、ここまで読んでくださった方に感謝いたします。
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