第四話



                              


「それで?」

と彼女はうざったそうに日差しを避けて、
例の奇妙な家へ入っていった。
 だが、後姿から聞こえる声は笑っている。

意外にも機嫌がよいのか、
彼は立ち上がると、その続きを、
真剣に聞く体制をとった。

「今日は何を食べさせてくれる?」
    
「・・・。」
突然の彼女の食い気発言に、
彼はため息をついた。

    





    この場所に来ればたちまち
    ロマンチックな状態すら望めない。
 
    「サバイバル」というほどの危険もないはずなのに、である。

彼は思う。



  あの女には、彼の周りを取り巻く美女達のような、色気が必要だ。
  少なくとも、割れそうになった爪を気遣うぐらいの・・・。

  

  そして、それは一応彼の願望で、何回も言ってはみたが
  彼女がそれを聞き入れない現実も、わかっていた。


「・・・さっそく食い物をご所望か。
いいご身分だな!」
    彼はあきれながらため息を漏らした。
    
    彼女はふりむいて、悪戯な笑顔を見せる。

「契約なんだって、さっき言ったくせに?」

「・・・」

彼はズボンのポケットに入れてあった
メモ用紙を取り出すと、



「今回はこんな場所では食べれないような
食材を使ってやるぞ!!」

とよくわからない闘志を燃やしはじめた。


一方彼女はというと、自分の部屋に入ると、

相変わらずのありさまに、
ふと、深いため息をもらすのだった。


彼女の部屋は.
はっきり言ってごちゃごちゃしていた。

が、それをあえて片付けはしない。

このごちゃごちゃしたモノの位置を。
彼女は的確に把握している。





そのために、
綺麗にしようと片付けた途端、
また新しくモノがある場所を、
おぼえなくてはならない。


それが彼女にはおっくうだった。





「なんだ?片付けるか?」

にこにこと笑顔の彼が部屋へ入ってくる。

実のところ、彼はこの部屋への立ち入りを
禁止されているのだった。

「うわっ!バカ!!やめろ、入ってくるなっ!!」

「別に普通の部屋だろうが。
客人をもてなすのにぴったりの。」

彼がこの部屋に興味を持っているのは、
何も外見が「バスだから」
という理由だけではない。

この部屋には、彼女の趣味によって集められた
得体の知れるものから、
全く知れないものまでが、
わんさとつまっていると、彼はふんでいる。

とにかくも、この部屋と彼女への興味が
尽きないためだ。


つづく

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